技能実習生が日本で介護人材として働くには?【詳細版】

この記事は

・技能実習で働いている人はどういう条件を満たした人なのか?
・どうすれば技能実習のビザを取得できるのか?
・講習や試験ではどのような内容を扱うのか?

という疑問を持たれている方に向けた解説記事となっています。

以前、技能実習についての概要やどのような人が技能実習生になれるのかを解説しました。
しかし、実は業種によって特有の要件というものが存在します。
ということで本記事では介護分野で求められている、より細かい要件を解説したいと思います。
(この記事は2020年8月21日に更新されました)

予想される介護人材不足

加速していく日本の少子高齢化は介護分野にも当然大きな影響を与えます。

2025年には、団塊の世代が後期高齢者(75歳)に達し、病院では患者・従事者のバランスが乱れ、介護施設は人手不足で、入居待ちの高齢者の方々も多く、入居が困難になっていきます。また、社会保障費が増加するなどの高齢化によって引き起こされる問題である2025年問題が生じます。

政府は、2025年時点で必要な介護人材が253万人、それに対して見込み人数は215万人であると想定しています。つまり数年後には介護人材が約40万人足りなくなるということです。そして、それを解決するためには毎年7~8万人程度の人材確保が必要といわれています。

技能実習制度とは?

簡潔にまとめると、技能実習制度とは「介護人材の確保が目的ではなく、実習者の本国への技術・技能の移転、人づくりを目的とした制度です」
また、技能実習制度は下図のように技能実習1号から3号まで段階的に構成されており、期間にして最長5年日本で働くことのできる就労制度です。

技能実習・介護の取得条件

技能実習のビザを取得する条件は以下の通りです。

・18歳以上
・帰国後も、修得した技能等に関わる業務に携わることが予定されている
・日本語能力試験のN4合格、もしくはこれと同等以上の能力がある

日本語能力試験においてN4は5段階中下から2番目のレベルです。
また、国際交流基金日本語テストを利用する場合ならば「A2」を合格すれば日本語能力試験のN4合格と同等の意味になります。なお、A2は6段階中下から2番目のレベルに該当します。

送出し機関を利用する団体監理型技能実習の場合は次のいずれかの条件を満たしていることが必要になります。(送出し機関とは送出し国(フィリピンなど)において特定技能生に関して日本との間で仲介を行う機関のこと。概略は下図)

・外国の高齢者もしくは障害者の介護施設等で日常生活上の世話などに従事した経験がある(業務内容は日本で行うものと完全一致している必要はない)
・外国政府による介護士認定等を受けた人
・外国における看護課程を修了したまたは看護師資格を持っている人

これらの経験・資格がない人は次のいずれかの条件を満たしていること

・教育機関で6ヶ月以上or 320時間以上の教育を受けた後、教育機関の概要・教育課程の修了を示す書類提出
・介護職への就業を希望し、そのために技能実習を行う必要性があり、その理由書を提出することができる+入国前講習を含む2か月以上の期間かつ320時間以上の教育を受ける

以上が技能実習・介護の取得条件になります。

どのような試験が行われるのか?

日本語能力に関するもの

介護の技能実習1号を取得するための試験は、「日本語能力試験」でN4以上、もしくはそれと同等以上の能力が必要です。
同等以上の能力とは、J.TEST実用日本語検定日本語NATTESTといった他の試験でもN4と同程度のレベルに達していれば良いということです。
目安の日本語レベルは「基本的な日本語を理解することができるレベル」です。

日本語能力試験N4では「語彙・文法・読解・リスニング能力」が問われます。
実用日本語検定ではN4に該当するのはD-Eレベル試験で350点以上で合格です。こちらでは「語彙・読解・漢字・記述・リスニング」の問題があります。
技能実習は1号→2号→3号とステップアップすることができるのですが、1号から2号へ昇格する場合はさらに1段階難易度の高いN3レベルの日本語が必要になります。
これは「日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる」レベルとされています。

技能水準に関するもの

技能能力に関する試験は1号から2号、2号から3号になるときに必要になります。それが「技能実習評価試験」です。
試験は初級試験・専門級試験・上級試験の3種があり、それぞれの試験内容・必要なタイミング(時期)・受験資格は下表の通りです。実技試験はどの試験でも必須ですが、専門級・上級の学科試験は任意となっています。

それぞれのレベルでの実技・学科試験でどのような内容が求められるかはこちらのPDFにまとめて記載されています。

講習について

技能実習の概要でも説明した通り、技能実習制度は人づくりを目的としているため、技能実習生は最初の段階ではあまり専門的な知識がありません。そのため、入国してから講習を受ける必要があります。
その内容が以下の通りです。
介護の場合は、「日本語講習」に加えて「介護導入講習」というものが設けられています。

ただし、講習は入国前講習もあり、これを1か月以上の期間かつ160時間以上受講した場合には入国後講習の期間が1か月に短縮可能です。(入国前講習がなければ原則2か月)

技能実習生の働ける範囲は?

介護の技能実習生が働く場合は、働くことのできる施設は、「訪問系(利用者の居宅でサービスを行うもの)を除く」という条件が設けられています。
訪問系を含んでしまうと、技能実習の目的である「人づくり」のための適切な指導を行うのが困難であるということが理由として挙げられます。
なので、訪問系以外、つまり介護老人保健施設やデイサービスセンターなどで働くことになります。

夜勤業務に関しても条件があります。それは、夜勤業務を実習生だけで行わせないように介護職員を同時に配置するということです。同時に、夜勤を行う実習生はできる限り2年目以降の実習生にすることも求められています。

また、技能実習生が介護職員として働く際、就労開始から6か月の間は配置基準に算定されません
*(人員)配置基準:介護事業所には入居者の人数に合わせて必要最低限の従事者の人数が3:1のような比率によって定められています。

一方、特定技能・介護として働く場合は就労開始時から配置基準に算定されます。これは、「特定技能1号・介護」の在留資格を取得するには試験に合格する必要があるからです。この試験合格は介護についての一定の専門性・技能を有することを保証するものなので技能実習生とは扱いが異なっています。

まとめ

•技能実習制度は本国への技術・技能の移転、人づくりが目的
•技能実習1号を取得するにはN4レベルの日本語が必要
•技能実習の区分を変更するときに技能実習評価試験が必要
•実習生は入国後講習を受ける必要がある
•訪問系以外の施設であれば働くことができる

以上、技能実習生が満たすべき細かい要件について解説させていただきました!

技能実習制度は人材確保が目的ではなくとも、実習生が本国へ技術などを移転するために日本の介護に携わってくれれば、日本は実習生からの助けを借りることができ、実習生は介護技術を習得することができるというWin-Winの関係を築くことのできるものです。

実習生はもちろんのこと、受け入れ側である私たち日本人も技能実習制度に対する理解が必要だと感じます。この記事によって少しでも理解が深まっていただければ幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました!