仕事中の少しのミスで1000円の罰金…

技能実習生の失踪

昨今、技能実習生の失踪が問題視されています。
失踪の原因は?失踪しないための改善策は?失踪後の実習生はどこへ?
といった疑問、技能実習生の現状について解説します!
※技能実習制度については過去の【技能実習制度とは??】を参照ください。
(この記事は7月7日に更新されました)

技能実習生の失踪者数

法務省が発表している2014年から2018年までの失踪した技能実習生の推移は以下の通りです。

5年間で失踪技能実習生の数が倍増していることがわかります。
出典 : 法務省

続いては前年末の在留技能実習生とその年に入国した技能実習生の合計と比率を見ていきましょう。


引用 : 法務省

実習生の総数も倍増しており、失踪率は5年間で2%前後と見て取れます。

上記では旧制度時に入国した実習生と新制度に改正後入国した実習生が含まれています。
平成29年11月から新外国人技能実習制度の改正後失踪者数が半数以下になっており、今後失踪者数の減少が見込まれています。
しかし、5年前から失踪率の大きな変化はありません。

失踪の原因

平成30年法務省が発表した失踪者(2870人)のアンケート調査によると、
上位4つの理由が以下の通りです。

1位 低賃金 67.2%
2位 実習後も稼働したい 17.8%
3位 指導が厳しい 12.6%
4位 長時間労働 7.1%

多くの原因が受け入れ企業側にある事がわかりますね。
平成30年に厚生労働省が監査指導を7,334事業場に実施しており、
労働基準関係法令違反が70.4%も認められています。


引用 : 厚生労働省
では失踪理由の9割を超える1位、2位、3位の実態について見ていきましょう。

外国人実習生の賃金

2019年の賃金構造基本統計調査によると、実習生の賞与や残業代を除いた1ヶ月の賃金は15万6900円(平均26.7歳)となっています。
一方で日本人を含む労働者(25~29歳)の平均は24万3900円ですので、
実習生は6割強しか支払われていないということになります。

正社員以外の雇用でも19万8900円となっており、時給計算すると174円の差があります。

実際に最低賃金法違反労働基準法違反の疑いで中国人技能実習生を最低賃金未満で働かせていたとして逮捕されたという事例もあります。
当時の最低賃金は時給800円でしたが、その半分の給料(時給405円)しか支払わなかったと報道されています。

実習生の報酬は「日本人と同等以上」と法律で定められているので、
受け入れ企業は、技能実習者を受け入れることで、コストを大きく下げれるといった誤った考え方を改める必要がありますね。

実習終了後も日本で働きたい

技能実習後は、基本的に本国に帰ることになります。ただ例外的に、引き続き日本に在留して、働くことは可能です。
しかし、かなり条件は厳しく、「就労ビザ(主に技術・人文知識・国際業務)」の要件をクリアしなければなりません。
具体的には、次の通りです。

1. 大学(短大含む)を卒業していること
2. 大学で学んだ事と業務内容が関連すること
3. 就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)に該当する職種であること

下記表のように、技能実習生1号→技能実習生2号→技能実習生3号→特定技能1号
と手順を踏むと10年は在留出来ますが、試験に合格せず在留を試みる技能実習生も少なくありません。
(特定技能制度についてはこちら、技能実習制度についてはこちらを参照ください。)


参考:https://f-navigation.net/2019/04/08/tokuteiginou/

指導が厳しい

実習生に対しては厳しい指導の範疇を超えた暴行や脅迫、セクハラ、旅券や在留カードを取り上げるといった人権侵害が相次いでいるのが現状です。

ある建設会社は、技能実習生に対して、「日本語を理解しない」などを理由に叩く、殴る、蹴るといった暴行を恒常的に行っていたり、
少しのミスで1回あたり1000円の罰金など技能実習生に課しており、
総額で10万円以上の罰金を不当に排除していたというケースもあります。

このような扱いを受けると失踪する気持ちもわかりますね。
こういった倫理的なところも問題視されています。

失踪しないための施策

失踪には受け入れ企業側の問題、技能実習生の不法在留が主な理由となっており、
2019年11月12日、法務省が技能実習生の失踪防止に向け、下記の取り組みを発表しています。

不適切な監理団体・実習実施者等を制度に関与させないための施策

・失踪者を出した送出機関・監理団体・実習実施者に対し,帰責性等を踏まえて技能実習生の新規受入れを停止
・相手国におけるブローカー対策を促すなど,二国間取決めに基づく対応の強化

実習中の技能実習生を失踪させないための施策

・失踪技能実習生を雇用した企業名の公表等の検討
・特定技能の調査に併せて,技能実習生からも処遇状況(賃金等支払状況や人権侵害の有無)についてヒアリング

失踪した技能実習生の不法就労を防止する施策

・失踪をさせた企業から失踪先等に係る情報収集の強化
・在留カード番号等を活用した不法就労等の摘発強化
・失踪技能実習生の在留資格取消しの強化
・失踪技能実習生に係る情報の関係省庁との共有

その他

・失踪・死亡事案発生時の速やかな実地検査等の実施
・制度の厳格化について入管庁から監理団体に対して直接周知
引用 : 法務省

まとめ

• 5年間で技能実習生の失踪者数は倍増
• 失踪率は例年2%前後
• 失踪原因その1『低い賃金』
• 失踪原因その2『実習後の不法な日本在留』
• 失踪原因その3『不法な暴行、罰金などの人権侵害』
• 法務省の施策により失踪者数が半減

以上、技能実習生失踪の実態について説明しました。
政府もこの実情を重く受け止め、新外国人技能実習制度に改正をすることで、
失踪者の割合は半数になっているので、今後の状況回復に期待ですね。
技能実習制度の取り組みを検討されている、または失踪された経験がある企業様の参考になれば幸いです。