特定技能・ビルクリーニングを取得するには?【詳細版】

この記事は

・日本のビルクリーニング業界はどのような現状なのか?
・特定技能・ビルクリーニング分野ではどのような仕事を対象としているのか?
・このビザで働くにはどのような条件(試験)があるのか?

という疑問を持たれている方、特定技能・ビルクリーニングの概要をサクッと理解したい方に向けた解説記事となっています。
(この記事は2020年8月31日に公開されました)

ビルクリーニング分野の現状

皆さんは現在の”ビルクリーニング”業界の現状を知っていますか?

ビルクリーニングの仕事内容は建物内の階段やトイレ、エレベーター、駐車場、外壁などの清掃を行い、衛生環境を清潔に保つことです。そのため、建物が増えればその分だけ必要な清掃量が増えるので人手が必要になってきます。
日本における特定建築物*は平成25年時点では43,351であったのに対し、平成30年度時点では45,679と増加傾向にあります。その影響もあり、ビル・建物清掃員の有効求人倍率(有効求人数÷有効求職者数)は平成25年度では1.60であったのに対し、平成29年度には2.95に増加しています。つまり、現在のビルクリーニング業界は人手不足な状態であるといえます。

*特定建築物とは1つの建築物において、特定用途(興行場、百貨店、事務所、学校等)に使用される延べ面積が、3,000平方メートル以上である建物のこと。
(ただし、小学校、中学校等については、8,000平方メートル以上であること。)

平成27年度の国勢調査によると、ビル・建物清掃員の従業者の37.2%が65歳以上で、女性が70.9%を占めているということがわかりました。このことから高齢者や女性の雇用を積極的に行っているにも関わらず、それでもなお人手不足な状況であることが伺えます。

特定技能とは?

簡潔にまとめると、特定技能とは「一定の専門性・技能を持ち、即戦力となる外国人を受け入れることにより人手不足解消を目的とする就労ビザ」のことで、2019年4月から開始しました。

そのため、受入れ業種は国内の人材確保の取組をしてもなお、人材が足りないと予測される業種に限定されています。下表が特定技能受入れ対象分野です。

介護 ビルクリーニング 素形材産業 建設
航空 電気・電子情報関連産業 造船・舶用工業 宿泊
農業 自動車整備 漁業 飲食料品製造業
外食業 産業機械製造業

特定技能も、技能実習制度と同様に「特定技能1号」と「特定技能2号」という区分があります。

在留期間は、1号の場合通算で上限5年まで、2号なら上限がありません。ですが特定技能2号の受入れ対象業種は建設と造船・舶用工業のみです。なのでビルクリーニング分野は特定技能1号しかありません。

仕事内容は?

特定技能・ビルクリーニングの人が従事する業務は建築物(住宅以外)内部の清掃です。

そして、求められる技能水準は場所・部位・建材・汚れ等の違いに対して、方法・洗剤・用具を適切に選択して清掃作業を行えることです。それに関連して、写真やイラストを用いた試験を行うので他の分野と少し異なった試験様式になっています。(後述)

また、ホテルなどにおけるベッドメイキング・清掃作業もビルクリーニングの仕事となっています。特定技能・宿泊で働いている方もベッドメイキングや清掃作業を行うことができますが、それらはあくまで付随的な業務に含まれています。そのため、主な業務としてこれらを行う場合は、宿泊ではなく特定技能・ビルクリーニングの資格が必要です。

取得条件

特定技能・ビルクリーニングを取得するのに求められる条件は概ね以下の通りです。

・18歳以上
・ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験に合格
・日本語能力試験(N4以上)に合格

*特定技能を取得するための他の条件はコチラの記事で解説したので、ここにある条件は一部省略したものです。

また、特定技能1号を取得するには上記した試験に合格する方法と、技能実習2号から移行する方法があります。その場合、試験が免除されますが次に示す注意が必要です。(技能実習とは?

(注)日本語能力試験はどの分野の技能実習生であっても免除対象
になりますが、技能試験はビルクリーニングの職種・作業に従事した技能実習生が免除対象になります。

どのような試験が行われるのか?

日本語能力に関するもの

1号特定技能外国人には「ある程度の日常会話ができることに加え、業務上必要な日本語能力」を有することが求められます。
ビルクリーニング分野において合格すべき試験は1つだけです。それが「日本語能力試験または国際交流基金日本語テスト」です。
日本語能力試験ならば、N4合格の日本語レベルが必要です。N4は日本語能力試験の5段階中下から2番目のレベルです。
国際交流基金日本語テストにおいてN4に匹敵する日本語レベルは、6段階中下から2番目のA2に該当します。

日本語能力試験HPはコチラ
国際交流基金日本語基礎テストHPはコチラ
技能水準に関するもの

先ほど少し説明したようにビルクリーニング分野では場所や部位に対応する適切な洗剤や清掃方法に関する知識が必要になります。

なので、試験は写真・イラスト等により判断する問題(満40点)と、12分間に3つの清掃作業を行う実技試験(満60点)の2つの試験を行います。合格基準はそれぞれ得点が60%以上であることです。

以下の問題は2019年度の問題です。

このように洗剤に関する問題や、

床面を清掃する際の方法や順序に関する問題などもあります。

また、2019年度の実技試験は床面、ガラス面、洋式便器を清掃するという内容の試験でした。

どれくらいの特定技能生が働いているのか?

2019年から始まった特定技能制度ですが、政府はそれぞれの分野での5年間の受入れ見込み人数を発表しています。そしてビルクリーニング分野では受入れ見込み人数を37,000人としています。

では、実際にどれくらいの特定技能生がいるのでしょうか?以下のグラフは令和元年6月から令和2年6月までの特定技能生の推移です。

出入国在留管理庁より作成

2019年から特定技能制度が始まったものの、試験の準備等が整っておらず、試験開始が令和元年11~12月頃でした。そのため、秋頃まで特定技能生はいませんでした。
その後、合格者や技能実習生から移行する人が増えてきましたが、実施される試験回数も少ないために令和2年6月の時点で100人を下回っています

また、2020年冬春頃から蔓延してきた新型コロナウイルスの影響で4~5月に実施予定であった試験が8~9月に延期されたこともあり、思うように特定技能生を確保することができていないのが現状です。

まとめ

・ビルクリーニング分野は特定建築物が増えていることもあり人手不足である
・この分野の対象としている仕事は住宅以外の建物内部の清掃
・技能水準に関する試験は写真やイラストを用いた試験と実技試験の2つ
・ビルクリーニング分野の特定技能生は令和2年6月で100人を下回っており、順調に進んでいるとは言い難い

ビルクリーニング分野では、技術で人手不足を補おうと効率性能の増した清掃機械の開発や、ロボットの導入などの対策を行っています。しかし、トイレや階段などは機械に任せることができず、やはり人の力が必要というのが現状です。

ビルに限らず百貨店やお店などの施設は多くの方が利用しており、日常に近いものだと思います。普段利用している施設がキレイな状態で保たれているのは清掃員の方々が働いてくれている証拠です。そのような清掃業、ビルクリーニング分野についての人手不足の現状や特定技能という制度があることをこの記事によって知り、理解を少しでも深めていただければ幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。