特定技能・介護を取得するには?【詳細版】

この記事は

・日本の介護業界は現在どういう状況下にあるのか?
・特定技能・介護として働いている人はどういう条件をクリアした人なのか?
・試験はどのような内容で各国の合格者数や合格率はどれくらいなのか?

という疑問を持たれている方、特定技能・介護の概要をサクッと理解したい方に向けた解説記事となっています。
(この記事は2020年8月20日に更新されました)

予想される介護人材不足

加速していく日本の少子高齢化は介護分野にも当然大きな影響を与えます。

2025年には、団塊の世代が後期高齢者(75歳)に達し、病院では患者・従事者のバランスが乱れ、介護施設は人手不足で、入居待ちの高齢者の方々も多く、入居が困難になっていきます。また、社会保障費が増加するなどの高齢化によって引き起こされる問題である2025年問題が生じます。

政府は、2025年時点で必要な介護人材が253万人、それに対して見込み人数は215万人であると想定しています。つまり数年後には介護人材が約40万人足りなくなるということです。そして、それを解決するためには毎年7~8万人程度の人材確保が必要といわれています。

特定技能とは?

簡潔にまとめると、特定技能とは「一定の専門性・技能を持ち、即戦力となる外国人を受け入れることにより人手不足解消を目的とする就労ビザ」です。

そのため、受け入れ業種は国内の人材確保のための取組をしてもなお、人材が足りないと予測される業種に限定されています。下表が特定技能受入れ対象業種です。

介護 ビルクリーニング 素形材産業 建設
航空 電気・電子情報関連産業 造船・舶用工業 宿泊
農業 自動車整備 漁業 飲食料品製造業
外食業 産業機械製造業

 

特定技能も、技能実習制度と同様に「特定技能1号」と「特定技能2号」という区分があります。

在留期間は、1号の場合通算で上限5年まで、2号なら上限がありません。ですが、特定技能2号の受入れ対象業種は建設と造船・舶用工業だけなので介護は含まれていません。

しかし、特定技能1号が修了しても介護福祉士国家試験に合格すれば、在留資格「介護」を取得でき、10年間日本で働くなどの条件を満たせば、永住権獲得も可能になります。

つまり、わざわざ特定技能2号として介護に従事しなくても、在留資格「介護」があるので特定技能2号の対象業種に「介護」が含まれていないということです。

特定技能・介護の取得条件

特定技能・介護を取得するために求められる条件・能力は以下の通りです。

・18歳以上
・介護技能評価試験に合格
・日本語能力試験のN4合格、もしくはこれと同等以上の能力がある
・介護日本語評価試験に合格

*特定技能を取得するための他の条件はコチラの記事で解説したので、ここにある条件は一部省略したものです。
しかし、技能・日本語能力に関して要求されるものは上記した3つの試験に合格することです。

どのような試験が行われるのか?

日本語能力に関するもの

1号特定技能外国人には「ある程度の日常会話ができることに加え、業務上必要な日本語能力」を有することが求められます。

そのため、介護の場合は日本語能力に関する試験が2つ用意されています。1つ目が「日本語能力試験または国際交流基金日本語テスト」、2つ目が介護に関する日本語の試験である「介護日本語評価試験」です。
日本語能力試験ならば、N4合格の日本語レベルが必要です。N4は日本語能力試験の5段階中下から2番目のレベルです。
国際交流基金日本語テストにおいてN4に匹敵する日本語レベルは6段階中下から2番目の「A2」に該当します。

日本語能力試験HPはコチラから
国際交流基金日本語基礎テストHPはコチラから

そして、次の「介護日本語評価試験」が技能実習制度と違って特定技能・介護の場合にのみ必要となる試験です。試験は、

・介護のことば
・介護の会話・声かけ
・介護の文書

の3項目から5問ずつ計15問出題され、オンライン上で行われます。試験時間は30分で、合格基準は60%以上です。
以下のような問題が3項目について問われます。

(厚生労働省HPより)

技能水準に関するもの

特定技能は人手不足解消のための即戦力となる人材ですので、ある程度の技能水準が求められます。そのために「介護技能評価試験」に合格しなければなりません。ここが技能実習と異なるところです。
介護技能評価試験は学科試験40問実技試験5問で構成されています。

学科試験の問題の大項目と中項目は以下の表の通りです。

 

介護日本語評価試験と同様に、試験はオンライン上で行われ、試験時間は60分です。合格基準は60%以上となっています。
各項目では以下のような問題が問われます。


(厚生労働省HPより)

ここでひとつ注意点があります。
特定技能1号になるには、最初から在留資格「特定技能」を取得する方法もありますが、技能実習2号から移行することも可能です。そして、技能実習2号から移行して特定技能生になるには、この2つの介護に関する技能・日本語試験は免除されます。

技能実習2号を修了したということは、すでに日本で研修を含めて3年間介護士として従事してきた、つまり十分に能力があるということなので、試験が免除されるということになります。

試験合格率はどのくらい?

フィリピンは最も試験開始時期がはやく、平成31年の4月から始まりました。次いでカンボジア、ネパール、インドネシア、モンゴル、ミャンマーでの試験が開始されました。
下の表は厚生労働省HPに公開されている平成31年4月から令和2年4月の間の各国の技能・日本語試験の受験者数と合格者数から合格率を割り出したものです。(左側が技能に関して、右側が日本語に関しての情報。ピンク色は合格率が50%を超えているところ)

厚生労働省HPより作成

国によって試験開始時期が異なっている等の原因により、受験者数に差があることや合格率にも大きく差が生じていることがわかります。
試験開始が早かったフィリピンが最も受験者数・合格者数が多く、両試験とも合格率は55%を超えており、これからもフィリピンからの受入れが増えてくると予測されます。
また、ミャンマーは試験開始が令和2年2月であるにも関わらず、合格率が高く、合格者数も多いことからミャンマーではしっかりとした教育が成されているのではないかと思われます。

介護日本語評価試験・介護技能評価試験の受験者数や合格者数、合格率などの情報は厚生労働省のHPの【新着情報】から確認でき、毎月末頃に先月分の試験結果を発表しています。

令和2年5月分の合格者数はこちらから
令和2年6月分の合格者数はこちらから

特定技能の働ける範囲は?

技能実習制度・介護と同じく、特定技能に関しても「訪問系(利用者の居宅でサービスを行うもの)を除く」という条件が設けられています。
つまり、施設に関する条件というものは技能実習生と同じです。
ですが、ひとり夜勤配置基準に関しては扱いが異なっています。
*(人員)配置基準:介護事業所には入居者の人数に合わせて必要最低限の従事者の人数が3:1のような比率によって定められています。

技能実習制度の場合、まだ技能や知識が不十分であることから実習生だけで夜勤業務を行うことはできず、就労してから6か月間は配置基準に算定することはできません
一方で、特定技能1号外国人は、3年間介護士として働いた技能実習2号修了の人材と介護技能が同等であるとされていることから、ひとり夜勤が可能であり、就労と同時に配置基準に算定することもできます。

ただし、義務ではないですが一定期間(6か月を目処)は他の日本人職員とチームでケアに当たり、サポートを行うことが求められています。

まとめ

•特定技能とは即戦力となるような技能を持つ外国人を受け入れる就労ビザで人手不足解消を目的としている
•特定技能・介護を取得するには介護技能評価試験、日本語能力試験、介護日本語評価試験の3つの試験に合格する必要がある
•合格者数はフィリピンが最も高く、合格率はミャンマーが最も高い
•特定技能は就労と同時に配置基準に算定でき、ひとり夜勤も可能だが原則サポートが求められている

以上、特定技能・介護を取得するための詳細な条件や具体的な試験内容について解説させていただきました!
日本はこのまま時が経てばさらに少子高齢化が進み、今まで成り立ってきた生産年齢人口と老年人口のバランスが崩れていきます。そうなった場合、外国人労働者の力を借りるというのは非常に有効な手段です。

特に介護分野というのは高齢化が進んだ際に、最も影響受ける業種のひとつなので、この状況を解決すべく様々な対策が取られています。

この特定技能という制度はまだまだ歴史が浅く、一般にはあまり広く普及していないというが現状です。なので、この記事を読んでくださったあなたが特定技能についての理解を少しでも深めていただくことができたならば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました!