特定技能・外食業を取得するには?【詳細版】

この記事は

・特定技能・外食業で働く人はどこで働いているの?
・仕事内容は日本人が行うものと違うの?
・外食業で試験って、どのような内容を問うの?

という疑問を持たれている方や、特定技能・外食業の概要をサクッと理解したい方に向けた記事となっています。
(この記事は2020年8月20日に更新されました)

特定技能とは?

簡潔にまとめると、特定技能とは「一定の専門性・技能を持ち、即戦力となる外国人を受け入れることにより人手不足解消を目的とする就労ビザ」のことで、2019年4月から開始しました。

そのため、受入れ業種は国内の人材確保の取組をしてもなお、人材が足りないと予測される業種に限定されています。下表が特定技能受入れ対象業種です。

介護 ビルクリーニング 素形材産業 建設
航空 電気・電子情報関連産業 造船・舶用工業 宿泊
農業 自動車整備 漁業 飲食料品製造業
外食業 産業機械製造業

特定技能も、技能実習制度と同様に「特定技能1号」と「特定技能2号」という区分があります。

在留期間は、1号の場合通算で上限5年まで、2号なら上限がありません。ですが、特定技能2号の受入れ対象業種は建設と造船・舶用工業のみです。そのため、外食業は特定技能1号しかありません。

外食業ではどこで働くの?

外食業と聞いてもはっきりとしたイメージを浮かべにくいですよね。
では、外食業ではどこで働くことができるのでしょうか?

特定技能・外食業で就労が認められているお店は、食堂・レストラン・喫茶店などのいわゆる飲食店です。それに加えて、お持ち帰り専門店・弁当屋・宅配専門店や医療・福祉施設内の給食部門などでの就労も可能です。

このように、飲食に関わるのであれば施設内でも可能ということなので、働く場所に関しては特に制限がないです。

仕事内容は?

一般に、特定技能生が行う仕事は日本人が行うものと同じような内容です。そして、その業務内容は外食業の場合、以下の3種類に分類されており、それぞれに対して試験があります。(試験については後述)

・飲食物調理
・接客
・店舗管理

飲食物調理では主に厨房での仕事、つまり調理や食材の仕込み、盛り付けを行います。

接客では客への対応、席案内や注文伺い、配膳、片付けなどを行います。

店舗管理では上記2つ以外の仕事である店舗内の衛生管理やレジ、設備メンテナンスなどを行います。

また、これらの業務に含まれないお店で行われている関連業務(調理品等以外の物品の販売など)についても特定技能生が行って良いとしています。

特定技能・外食の取得条件

特定技能・外食業が、普通の飲食店で日本人が行うような業務を外国人が行うというイメージができたと思います。
では、この就労ビザを修得するのに必要な条件は何でしょうか?

・18歳以上
・外食業特定技能1号技能測定試験に合格
・国際交流基金日本語テストor日本語能力試験(N4以上)に合格

*特定技能を取得するための他の条件はコチラの記事で解説したので、ここにある条件は一部省略したものです。
ですが、技能・日本語能力に関して要求されるものは上記した2つの試験に合格することです。

試験はどのような内容?

日本語能力に関するもの

1号特定技能外国人には「ある程度の日常会話ができることに加え、業務上必要な日本語能力」を有することが求められます。
外食業においては、介護のようにそれほど多くの専門用語がないので合格すべき試験は1つだけです。それが、「日本語能力試験または国際交流基金日本語テスト」です。
日本語能力試験ならば、N4合格の日本語レベルが必要です。N4は日本語能力試験の5段階中下から2番目のレベルです。
国際交流基金日本語テストにおいてN4に匹敵する日本語レベルは6段階中下から2番目の「A2」に該当します。

日本語能力試験HPはコチラ
国際交流基金日本語基礎テストHPはコチラ
技能水準に関するもの

技能水準において合格が必要な試験は「外食業特定技能1号技能測定試験」です。
この試験は「衛生管理・飲食物調理・接客全般」の3科目からなっています。それぞれについて少し詳しく見てみましょう。

衛生管理

衛生管理の科目では主に以下のような項目についての知識が必要です。

ここでひとつ、あまり聞き馴染みのない「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理の知識」について説明したいと思います。

HACCP(ハサップ)とは、Hazard Analysis and Critical Control Pointの略で、日本語では「危害要因分析重要管理点」といいます。

平たく言うとHACCPとは、原材料の入荷から製造までの作業工程において安全性をチェックしていく衛生管理の方法のひとつです。
これに基づいて、非加熱の料理(サラダなど)ではしっかり水で洗ったり、冷蔵庫で保存したりする、要加熱の料理では食品の中心温度が加熱されていることを確認するなどして食の安全性を確保しています。

飲食物調理

飲食物調理の科目では以下のような項目についての知識が必要です。

飲食物調理では、肉類・魚介類・野菜・果実類についての基本的な知識、調理法、調理器具などに加え、労働安全衛生に関する知識も重要です。
これは、包丁使用時の指のケガ、油をこぼしてしまった際のやけどのような調理現場で起こり得るケガ・事故に対する対策・注意点などについて書かれています。

接客全般

接客の科目では以下のような項目についての知識が必要です。

この表にも書いていますが接客全般では、接客サービスの理解やあいさつなどの基本的な動作に加えて、食に関する知識も必要です。
例えば、和食に関する知識や食べ方、洋食・中国料理のマナーなどが「食事マナーについて」の項目に含まれています。
また、表右上に書かれている「食に関する知識」の中の「食の多様化について」の項目ではイスラム教のハラールやベジタリアンについても触れられています。

ここでひとつ注意点があります。
特定技能1号になるには上記した試験に合格するという方法の他に、技能実習2号から移行する方法があります。

そのような場合には日本語試験は免除されます。

また、技能試験に関しても「医療・福祉施設給食製造職種」において技能実習2号を修了した場合には一定の知識・経験・専門性を有すると考えられているため、技能試験(外食業特定技能1号技能測定試験)が免除されます。

どれくらいの特定技能生が働いているのか?

特定技能・外食業分野の受入れは2019年4月から始まりました。そして、この分野において5年間の受入れ見込み人数は53,000人としています。
では、1年が経過した今、特定技能生は何人ほどいるのでしょうか?以下のグラフは令和1年6月から令和2年6月の特定技能1号生の推移です。

出入国在留管理庁より作成

令和2年6月末時点での数字は、令和2年3月の246人と比較して2.5倍の607人に増加しました。
しかし、外食業の5年間の受入れ見込み人数は53,000です。単純計算した1年間当たりの受入れ人数である約1万人に大きく及んでいないことがわかります。
この少なさの原因は受入れ機関、送出し機関の手続きのわずらわしさや、制度の理解不足などによる準備の不十分など指摘されている点が多いのが現実です。

また、2020年冬春頃から蔓延してきた新型コロナウイルスの影響で試験が予定通り受けられなかったり、入国予定のはずが中止になってしまったなどのニュースも多く見られるので、うまく進むのか先行きが心配な状況となっています。

まとめ

•外食業において勤務場所は主に飲食店など
•仕事内容は日本人が行うものと同じような内容
•試験は日本語能力試験1つと技能試験1つ
•技能試験は衛生管理・飲食物調理・接客全般の3科目からなる
•令和2年6月末時点で特定技能生は607人とかなり少ないのが現状

以上、特定技能・外食業における制度の概要や取得条件、試験などについて解説させていただきました。

日本の外食業は少子高齢化、労働力不足の問題とは切っても切れない関係にあります。そのため、このまま日本が外国人労働力の受入れなしに進んでいくと需要と供給のバランスが保てなくなっていきます。
また、東京オリンピック・インバウンドの増加などを考慮しても外食業の働き手は必須であると考えられます。

外食業は、私たちの日常生活の中で比較的接点が多く、他の特定技能の分野に比べ親しみのある分野だと思います。

この記事を読んでくださったあなたが特定技能についての、日本の飲食店で働く外国人に対しての理解を少しでも深めることができたなら幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。