特定技能・建設を取得するには?【詳細版】

この記事は

・日本の建設分野はどのような現状なのか?
・特定技能・建設分野ではどのような仕事を対象としているのか?
・このビザで働くにはどのような条件(試験)があるのか?

という疑問を持たれている方、特定技能・建設の概要をサクッと理解したい方に向けた解説記事となっています。
(この記事は2020年8月20日に公開されました)

建設分野の現状

特定技能の話の前に、日本の建設分野の現状について見てみましょう。

建設労働関係統計資料より作成

建設業における就労者数は平成9年が最も多く、685万人でした。しかしそれからは右肩下がりを続け、平成22年頃から現在は500万人程度で横ばい状態となっています。

構成年齢に着目すると、10年後には大半が退職する64歳以上が全体の4分の1弱(24%)を占めています。それに対し、15~24歳は全体の5%しか占めていません。そのため、10年後と言わずとも現在も既に熟練高齢技術者の離職人数が大きく増えています。

そこで政府は公共工事設計労務単価の引き上げや技術者の処遇改善、3K(きつい、汚い、危険)のイメージ払拭による入職者数増加のためのアピール等の対策を取っており、平成24年では約3.3万人であった入職者数を平成29年には約4万人へと増加させています。この入職者数の増加と高齢層の離職のために近年の就業者数が横ばいの状態を維持しているのではないかと思われます。しかし、確実に高齢層は抜けていくので若年層の確保はこれからも課題であるといえます。

そして、そのための解決手段の一つとして提案されたのが特定技能です。

特定技能とは?

簡潔にまとめると、特定技能とは「一定の専門性・技能を持ち、即戦力となる外国人を受け入れることにより人手不足解消を目的とする就労ビザ」のことで、2019年4月から開始しました。

そのため、受入れ業種は国内の人材確保の取組みをしてもなお、人材が足りないと予測される業種に限定されています。下表が特定技能受入れ対象業種です。

介護 ビルクリーニング 素形材産業 建設
航空 電気・電子情報関連産業 造船・舶用工業 宿泊
農業 自動車整備 漁業 飲食料品製造業
外食業 産業機械製造業

 

特定技能も、技能実習制度と同様に「特定技能1号」と「特定技能2号」という区分があります。

在留期間は、1号の場合通算で上限5年まで、2号なら上限がありません。
しかし、特定技能2号の受入れ対象業種は上記した14業種全てではなく建設と造船・舶用工業のみです。建設業は数少ない特定技能2号受入れ対象業種に含まれていますが、別の見方をするとそれほど人手不足が懸念されているということです。

実際、政府の見通しでは必要な建設技能者数は令和5年度には約347万人となると見込んでいます。(冒頭のグラフは就業者数に関するものであることに留意)
この見込みを元に考えると、令和5年時点で約21万人の人手不足が生じるとしています。

そして、建設分野における特定技能生の2019年~2024年における受入れ見込み数は最大4万人としています。予想される21万人とは乖離がありますが、この数字は生産性の向上・国内人材の確保を最大限行ってもなお不足されると想定される数字であり、過大な受入れ数ではないとしています。

仕事内容は?

建設業は他の業種と異なり区分けが非常に多く、18種もあります。それが以下の表です。
2つ先の段落でもどのような仕事に従事することが出来るのかは表に記載しています。

初めて聞くような単語もあるかと思うので各単語に説明となるようなリンクを付けたので気になる単語があればクリックしてみてください。別ページに飛んでその単語の説明を見ることが出来ます。

型枠施工 左官 コンクリート圧送 トンネル推進工
建設機械工 土工 屋根ふき 電気通信
鉄筋施工 鉄筋継手 内装仕上げ とび
建築大工 配管 建築板金 保温保冷
吹付ウレタン断熱 海洋土木工

 

特定技能1号・建設の取得条件

特定技能1号・建設を取得するのに求められる条件は概ね以下の通りです。

・18歳以上
・従事する業務と関連のある技能試験(次段落参照)に合格
・日本語能力試験(N4以上)に合格

*特定技能を取得するための他の条件はコチラの記事で解説したので、ここにある条件は一部省略したものです。

また、特定技能1号を取得するには上記した試験に合格する方法と、技能実習2号から移行する方法があります。その場合、試験が免除されますが次に示す注意が必要です。(技能実習とは?

(注)日本語能力試験はどの分野の技能実習生であっても免除対象
になりますが、技能試験はコチラのPDFに記載されている職種・作業に従事した技能実習生が免除対象になります。

特定技能2号・建設の取得条件

既述したように建設分野には特定技能2号が設けられています。そして、特定技能1号から特定技能2号へと移行する際の条件は以下の通りです。

・従事する業務と関連のある技能試験(次段落参照)に合格
・一定年数以上の実務経験

特定技能2号は既に十分な日本語能力を有するものと見なされているため日本語に関する試験はありません。

また、要求される技能水準に関しては、特定技能1号の場合「図面を読み取り、指導者の指示・監督を受けながら、適切かつ安全に作業を行うための技能や安全に対する理解力等を有する」ことが要求されます。
一方で特定技能2号の場合は「複数の建設技能者を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者としての実務経験を要件とする」としています。
また、必要な実務経験の年数は業務区分ごとに定められています。

どのような試験が行われるのか?

日本語能力に関するもの

1号特定技能外国人には「ある程度の日常会話ができることに加え、業務上必要な日本語能力」を有することが求められます。
建設分野において合格すべき試験は1つだけです。それが「日本語能力試験または国際交流基金日本語テスト」です。
日本語能力試験ならば、N4合格の日本語レベルが必要です。N4は日本語能力試験の5段階中下から2番目のレベルです。
国際交流基金日本語テストにおいてN4に匹敵する日本語レベルは6段階中下から2番目のA2に該当します。

日本語能力試験HPはコチラから
国際交流基金日本語基礎テストHPはコチラから
技能水準に関するもの

上述してきたように、建設分野は職種が細かく分類されており、それぞれに対して試験があります。
左欄には職種、中央欄には行われる試験、右欄にはその職種がどのような作業内容を行うかを記載しています。

以下の表は特定技能1号に関する職種と試験・業務内容です。

 

そして、次の表が特定技能2号に関する職種と試験・業務内容です。

特定技能2号での業務内容は型枠施工にある通り「複数の建設技能者を指示しながら」という文言が文頭に入ります。しかし、ここでは読みやすさのため他の職種ではこの文言を省略させていただきました。
前段落に記載したように、特定技能2号に要求される技能水準は「複数の建設技能者への指示、工程の管理」です。なので、特定技能2号の業務内容は特定技能1号の業務内容にこれが追加された形となっています。

どれくらいの特定技能生が働いているのか?

「特定技能」という括りの前に、外国人労働者は全体で何人くらい日本にいるのでしょうか?建設分野と外国人労働者の関係性として以下の話に軽く触れておきます。

建設業は2011年に発生した東日本大震災の復興事業や2020年に控えていた東京オリンピックのために人材需要に拍車がかかりました。そのために、国内の人材確保だけでなく外国からの労働力も取り入れようとした取り組みがあります。それが、技能実習修了者を対象とした「外国人建設就労者受入事業」です。
技能実習についてはこちら
これは技能実習生としての期限(3~5年)を修了した場合でも、「特定活動」の在留資格で2年もしくは3年間継続して働くことができるという制度です。
そして、「特定活動」修了後は特定技能1号に移行できるため、実習生はより長い間日本で働くことができます。概略図を以下に示します。

 

技能実習は特定技能よりもビザ取得のハードルが低いことや古くから(1993年から)実施されていること、上記のような制度があることから、在留資格別でみると「技能実習」の在留資格で働く外国人労働者の割合は他のものと比べて圧倒的に多いです。
外国人労働者全体の人数と技能実習生の人数を以下に示します。

このグラフを見るといかに技能実習生の割合が多いかがわかります。

では特定技能生はどれくらいの人数がいるのでしょうか?

特定技能生は冒頭で述べたように令和元年(2019年4月)から始まった制度で、開始からあまり時間が経過しておらず、建設分野も他の分野も想定を大きく下回る程度の人数しか確保できていません。5年間で最大4万人を受け入れるなら単純計算で1年で8000人受け入れることになりますが、1000人にも到達していないので懸念の声が広がっています。
ちなみに、この特定技能生の国籍のうち、ミャンマーの割合が最も多いです。実際、令和2年6月では374人中267人(71.4%)がミャンマー国籍で、次に多いのは中国で47人でした。

また、2020年冬春頃から蔓延してきた新型コロナウイルスの影響で試験が予定通り受けられなかったり、入国予定のはずが中止になってしまったなどのニュースも多く見られるので、どの分野でも見込み通りの人数を受け入れることができるのかどうか、先行きが心配な状況となっています。

まとめ

・建設分野は人手不足で、令和5年時点で約21万人も人手が不足すると予想されている
・建設分野は特定技能1号と2号の受入れ対象分野
・業務内容は18種に分類されており、それぞれに対して試験がある
・外国人労働者のうち、技能実習の割合が最も高い
・特定技能はまだあまり普及しておらず、令和2年6月で374人と見込み人数(5年で4万人)とは乖離がある

日本の建設分野も人手不足の問題を抱えており、現段階では就業者数は横ばいで移動していますが高齢層の割合が全体の4分の1と大きく、離職人数も増加していくと予想されています。すると、より一層人手不足の問題が深刻化するのは明らかで、国内人材確保・特定技能などの外国の労働力が必要になってきます。
2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震にあるように、日本は自然災害の多い国です。災害によって被害が生じると復興事業が必要になりますが、人手不足状態だと復興作業もまともにできません。そのような場合に、円滑に作業を進めるためにも特定技能や技能実習について、少しでも理解しておくことは必要になってくるのではないでしょうか。

この記事によって特定技能・技能実習制度、日本の建設分野に関する理解を少しでも深めていただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。