特定技能・産業機械製造業を取得するには?【詳細版】

この記事は

・特定技能・産業機械製造分野ではどのような仕事を対象としているのか?
・素形材産業分野、電気・電子情報関連産業分野との関係は?
・このビザで働くにはどのような条件(試験)があるのか?

という疑問を持たれている方、特定技能・産業機械製造の概要をサクッと理解したい方に向けた解説記事となっています。
(この記事は2020年9月11日に公開されました)

特定技能とは?

簡潔にまとめると、特定技能とは「一定の専門性・技能を持ち、即戦力となる外国人を受け入れることにより人手不足解消を目的とする就労ビザ」のことで、2019年4月から開始しました。

そのため、受入れ業種は国内の人材確保の取組をしてもなお、人材が足りないと予測される業種に限定されています。下表が特定技能受入れ対象分野です。

介護 ビルクリーニング 素形材産業 建設
航空 電気・電子情報関連産業 造船・舶用工業 宿泊
農業 自動車整備 漁業 飲食料品製造業
外食業 産業機械製造業

特定技能も、技能実習制度と同様に「特定技能1号」と「特定技能2号」という区分があります。

在留期間は、1号の場合通算で上限5年まで、2号なら上限がありません。ですが、特定技能2号の受入れ対象業種は建設と造船・舶用工業のみです。そのため、産業機械製造業は特定技能1号しかありません。

仕事内容は?

産業機械製造業も建設業と同じように、業務区分が細かく分かれており、全部で18種あります。それが以下の表です。

鋳造 鍛造 ダイカスト 機械加工
金属プレス加工 鉄工 工場板金 めっき
仕上げ 機械検査 機械保全 電子機器組み立て
電気機器組み立て プリント配線板製造 プラスチック成形 塗装
溶接 工業包装

※それぞれの業務区分の仕事内容については後ほど説明します。

取得条件

特定技能1号・産業機械製造を取得するのに求められる条件は概ね以下の通りです。

・18歳以上
・従事する業務と関連のある技能試験(次段落参照)に合格
・日本語能力試験(N4以上)に合格

*特定技能を取得するための他の条件はコチラの記事で解説したので、ここにある条件は一部省略したものです。

また、特定技能1号を取得するには上記した試験に合格する方法と、技能実習2号から移行する方法があります。その場合、試験が免除されますが次に示す注意が必要です。(技能実習とは?

(注)日本語能力試験はどの分野の技能実習生であっても免除対象
になりますが、技能試験はコチラのPDFに記載されている職種・作業に従事した技能実習生が免除対象になります。

どのような試験が行われるのか?

日本語能力に関するもの

1号特定技能外国人には「ある程度の日常会話ができることに加え、業務上必要な日本語能力」を有することが求められます。
産業機械製造分野において合格すべき試験は1つだけです。それが「日本語能力試験または国際交流基金日本語テスト」です。
日本語能力試験ならば、N4合格の日本語レベルが必要です。N4は日本語能力試験の5段階中下から2番目のレベルです。
国際交流基金日本語テストにおいてN4に匹敵する日本語レベルは6段階中下から2番目のA2に該当します。

日本語能力試験HPはコチラ
国際交流基金日本語基礎テストHPはコチラ
技能水準に関するもの

技能水準に関する試験は「製造分野特定技能1号評価試験」が行われます。この試験は下表に示す通りそれぞれの分野に対して細かく分類されています。左欄には職種、中央欄には行われる試験、右欄にはその職種の作業内容を記載しています。


また、産業機械製造業に従事する特定技能外国人はこれらの業務に対して「指示者の指示を理解できる、もしくは自らの判断で行える」程度の能力を有することが求められています。

ちなみに、この「製造分野特定技能1号評価試験」は製造現場で従事する業務の多くが共通していることを理由に、産業機械製造分野、素形材産業分野、電気・電子情報関連産業分野における技能水準の試験として共通で用いられている試験です。

どれくらいの特定技能生が働いているのか?

2019年から始まった特定技能制度ですが、政府はそれぞれの分野での5年間の受入れ見込み人数を発表しています。そして産業機械製造分野では受入れ見込み人数を5,250人としています。

では、実際にどれくらいの特定技能生がいるのでしょうか?以下のグラフは令和元年6月から令和2年6月までの特定技能生の推移です。

出入国在留管理庁より作成

産業機械製造分野における特定技能外国人の人数が令和2年6月時点で561人というのは、他の受入対象産業分野に比べ、やや多いです。

産業機械製造分野は、5年間の見通しの受入れ見込み人数が他の分野に比べてそれほど多くありません。なので、このまま順調に特定技能生が増えていけばまだ受入れ見込み人数に到達する可能性は他の分野に比べて高そうです。
この分野は試験の合格者を考慮すると、日本語・技能試験を合格して特定技能外国人になった人数より、技能実習生から特定技能外国人へ移行した人数のほうが多いです。
ちなみに、外国人技能実習機構(OTIT)によると平成30年度時点で、産業機械製造分野に関連する技能実習生1号・2号の合計人数は13万6171人でした。

しかし、2020年冬春頃から蔓延してきた新型コロナウイルスの影響で試験が予定通り受けられなかったり、入国予定のはずが中止になってしまったなどのニュースも多く見られています。新型コロナウイルスがどこまで支障をきたすのかわかりませんが、先行きは未だ不透明なままだと言えるでしょう。

まとめ

・産業機械製造業では18区分の職種を対象としている
・技能試験で行われる製造分野特定技能1号評価試験は素形材産業分野、電気・電子情報関連産業分野と共通の試験
・産業機械製造分野は受入見込み人数が他分野に比べて少なめであるが、実際の特定技能外国人人数が他分野より少し多い

産業機械製造業は、経済産業省の支援を受けることができることも理由に、AIやIoTなどから得られるデータの活用、デジタル化が進歩しています。その結果、この分野における生産性は毎年向上し続けています。また、女性雇用率の上昇や賃上げなどの対策を行い、国内の人材確保にも取り組んでいます。

しかし、工作機械やロボット等の産業機械は世界的に需要が高まっています。そのため、生産性が向上してもなお人手が足りていないというのが現状で、人材確保が必要とされています。

社会インフラ設備や幅広い産業へ生産財を供給している産業機械製造業は、日本の製造業の根幹とも言えます。
そのような日本の国民生活に不可欠な分野である産業機械製造業について、特定技能について理解を少しでも深めていただければ幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。