特定技能・自動車整備を取得するには?【詳細版】

この記事は

・特定技能・自動車整備分野ではどのような仕事を行うのか?
・日本の自動車整備はどのような現状にあるのか?
・このビザで働くにはどのような条件(試験)があるのか?

という疑問を持たれている方、特定技能・自動車整備の概要をサクッと理解したい方に向けた解説記事となっています。
(この記事は2020年9月3日に公開されました)

自動車整備とは?

自動車整備士の仕事とは自動車の故障や事故の防止を目的とし、定期点検や車検を行い、自動車の不具合に応じて整備や分解などを行い、調整・修理をすることです。

そして、自動車整備になるには国家試験である自動車整備士技能検定に合格し、自動車整備士の資格を取得する必要があります。自動車整備士には一級・二級・三級と特殊整備士の4種類があり、三級から一級の順に要求される技術のレベルが高くなります。
特殊整備士はタイヤ・車体・電気装置に関する詳しい知識を要する資格を取得すればなることができますが、この資格は自動車整備の仕事に必須というわけではありません。

自動車整備分野の現状

そのような自動車整備士という仕事ですが、実際どれくらいの方が働いているのでしょうか?

自動車分解整備業実態調査結果の概要についてより作成

日本の自動車整備業における整備関係従業員数(整備主任者、自動車検査員など資格を持っていない人も含む)は平成24年から平成31年の間ではやや減少していることがわかります。これを見る限りあまり深刻な人手不足な状態ではないように思えます。

しかし、平均年齢に着目してみると平成24年では42.1歳であったのに対し、平成31年では45.5歳になっており、若者の車離れや高齢者の引退などの影響もあり関係者の高齢化が進んでいます

また、自動車整備士の人手不足を把握する上でもうひとつ考慮しなければならない数字があります。それが自動車の保有台数です。以下のグラフは平成22年から平成31年までの自動車保有台数の推移です。

わが国の自動車保有動向より作成

ご覧の通り、日本における自動車の保有台数は年々上昇しています。この状況下で整備関係従業員数が減少していくのであれば人手不足格差は拡大の一途を辿るのみです。

実際、政府は2024年時点で13,000人の人手不足が生じると見込んでいます。そして、生産性の向上と国内人材確保の取り組みを行った上でもなお不足されると思われる7,000人を特定技能の受入れ見込み人数としています。

特定技能とは?

簡潔にまとめると、特定技能とは「一定の専門性・技能を持ち、即戦力となる外国人を受け入れることにより人手不足解消を目的とする就労ビザ」のことで、2019年4月から開始しました。

そのため、受入れ業種は国内の人材確保の取組をしてもなお、人材が足りないと予測される業種に限定されています。下表が特定技能受入れ対象分野です。

介護 ビルクリーニング 素形材産業 建設
航空 電気・電子情報関連産業 造船・舶用工業 宿泊
農業 自動車整備 漁業 飲食料品製造業
外食業 産業機械製造業

特定技能も、技能実習制度と同様に「特定技能1号」と「特定技能2号」という区分があります。

在留期間は、1号の場合通算で上限5年まで、2号なら上限がありません。ですが、特定技能2号の受入れ対象業種は建設と造船・舶用工業のみです。そのため、自動車整備業は特定技能1号しかありません。

仕事内容は?

特定技能で働く自動車整備士の担当する仕事は冒頭で述べたような「自動車の日常点検整備定期点検整備分解整備」が主な仕事内容になります。

また、それに関連して日本人も行う仕事、例えばナビ・ETC等の電装品の取付作業や車内清掃作業、部品等運搬作業のような関連作業も特定技能外国人の行う仕事に含まれています。しかし、この関連作業はあくまでも付随的なものであって、主な仕事として扱うことは許されていません。

取得条件

特定技能1号・自動車整備を取得するのに求められる条件は概ね以下の通りです。

・18歳以上
・自動車整備分野特定技能評価試験または自動車整備士技能検定試験3級に合格
・日本語能力試験(N4以上)に合格

*特定技能を取得するための他の条件はコチラの記事で解説したので、ここにある条件は一部省略したものです。

また、特定技能1号を取得するには上記した試験に合格する方法と、技能実習2号から移行する方法があります。その場合、試験が免除されますが次に示す注意が必要です。(技能実習とは?

(注)日本語能力試験はどの分野の技能実習生であっても免除対象
になりますが、技能試験は自動車整備の職種・作業に従事した技能実習生が免除対象になります。

どのような試験が行われるのか?

日本語能力に関するもの

1号特定技能外国人には「ある程度の日常会話ができることに加え、業務上必要な日本語能力」を有することが求められます。
自動車整備分野において合格すべき試験は1つだけです。それが「日本語能力試験または国際交流基金日本語テスト」です。
日本語能力試験ならば、N4合格の日本語レベルが必要です。N4は日本語能力試験の5段階中下から2番目のレベルです。
国際交流基金日本語テストにおいてN4に匹敵する日本語レベルは6段階中下から2番目のA2に該当します。

日本語能力試験HPはコチラ
国際交流基金日本語基礎テストHPはコチラ
技能水準に関するもの

先ほども述べた通り技能水準に関する試験は「自動車整備分野特定技能評価試験」または「自動車整備士技能検定試験3級」を行います。
どちらの試験を受験しても良いことから、特定技能外国人に求められる技能水準が三級自動車整備士と同等程度ということがわかります。

ちなみに、三級自動車整備士の技術レベルは自動車整備士の中では最も低いレベルです。そのため、基本的な整備(エンジンオイル交換、タイヤ交換等)しか行うことができません。
エンジンや足回りの分解整備は、ミスがあったときに自動車の安全走行に重大な影響を及ぼすため、このような整備は二級以上の資格を持っていないと行うことができません。

さて、そのような三級自動車整備士ですが、特定技能外国人に課す「自動車整備分野特定技能評価試験」では上記したような技能水準を要求しており、主に以下に示す範囲を試験で取り扱う範囲としています。

学科試験は〇×式で30問、実技試験では作業試験や設定された状況下での判断問題などを行います。学科試験は65%以上、実技試験は60%以上が合格水準となっています。

三級自動車シャシ三級自動車ガソリン・エンジンに関して過去問はこちらから見ることができます。(シャシとは自動車の骨格となるフレーム自体のことです)

どれくらいの特定技能生が働いているのか?

2019年から始まった特定技能制度ですが、政府はそれぞれの分野での5年間の受入れ見込み人数を発表しています。そして自動車整備分野では受入れ見込み人数を7,000人としています。

では、実際にどれくらいの特定技能生がいるのでしょうか?以下のグラフは令和元年6月から令和2年6月までの特定技能生の推移です。

出入国在留管理庁より作成

特定技能制度が開始した直後はほとんど特定技能外国人はいませんでした。そして、令和2年6月時点でも54人とかなり少ない人数となっています。
この54人というのは全14種の対象産業分野の中でもかなり低い数字です。

自動車整備分野における特定技能外国人が少ない原因は試験の難易度が高く、そもそも試験受験者数が少ないということも挙げられます。
そのため、試験を行って特定技能の在留資格を取得する方法よりも技能実習から移行して取得する方法をとる方が多いようです。
また、特定技能外国人が少ない他の要因としては、受入れ機関・送出し機関の手続きのわずらわしさや、制度の理解不足などによる準備の不十分などが挙げられています。

さらに、2020年冬春頃から蔓延してきた新型コロナウイルスの影響で試験が予定通り受けられなかったり、入国予定のはずが中止になってしまったなどのニュースも多く見られ、思うように特定技能外国人を確保することができていないのが現状です。

まとめ

・自動車整備関係者数は減少にあるが自動車の保有台数が増加傾向にあるため、人手不足格差は広がり続けている
・主な仕事内容は自動車の日常点検整備・定期点検整備・分解整備
・技能水準は三級自動車整備士に求められるものと同程度
・2024年までに7,000人を受入れる見込みだったが、令和2年6月時点で54人と少ないのが現状

自動車整備の仕事は車の修理や点検を行い、自動車の安全性を確保することが重要な目的です。そのような仕事において人手不足が起こり、十分にこれらの業務に手が回らないくなると、事故件数が増加し、国民の安全性が脅かされてしまいます。
そのような事態を防ぐには車の点検作業、自動車整備の方々の力が必須です。

この記事を読んで、自動車整備分野の概要や現状、特定技能についての理解を少しでも深めていただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。