特定技能・飲食料品製造業を取得するには?【詳細版】

この記事は

・そもそも飲食料品製造分野とは何か?どのような仕事なのか?
・現状はどうなっているのか?
・このビザで働くにはどのような条件(試験)があるのか?

という疑問を持たれている方、特定技能・飲食料品製造業の概要をサクッと理解したい方に向けた解説記事となっています。
(この記事は2020年9月18日に公開されました)

飲食料品製造業とは?現状は?

飲食料品製造業とは、その名の通り加工食品(ハム、バター、魚・野菜・果物の缶詰、調味料、菓子パンなど)や飲料水などを製造する産業のことを指します。

この飲食料品製造業ですが、この産業分野は事業所数、従業員数が製造業の中で最も多く、大都市圏とそれ以外の地域においても、製造業全体に占める飲食料品製造業の従業者数の比率はほぼ同水準となっています。そのため、地域経済の観点からも雇用と生産を支える産業として重要な役割を果たしています。

しかし、事業所数、従業員数が製造業の中で最も多いとはいえ、その需要の多さから人手不足の現状にあります。

実際、2013年から有効求人倍率(=有効求人数÷有効求職者数)は年々上昇し続けており、2017年には2.78倍となっています。全産業の平均の有効求人倍率と比較しても、飲食料製造業における人手不足の深刻さが伝わります。

政府の発表によると、平成28年度の飲食料品製造業の従業員数は約140万人で、4万3000人の人手不足。そして、令和5年(2023年)には7万3000人までに人手不足が増大するとの見通しを立てています。

このような現状を踏まえて、飲食料品製造業は特定産業分野に選ばれました。

特定技能とは?

簡潔にまとめると、特定技能とは「一定の専門性・技能を持ち、即戦力となる外国人を受け入れることにより人手不足解消を目的とする就労ビザ」のことで、2019年4月から開始しました。

そのため、受入れ業種は国内の人材確保の取組をしてもなお、人材が足りないと予測される業種に限定されています。下表が特定技能受入れ対象分野です。

介護 ビルクリーニング 素形材産業 建設
航空 電気・電子情報関連産業 造船・舶用工業 宿泊
農業 自動車整備 漁業 飲食料品製造業
外食業 産業機械製造業

特定技能も、技能実習制度と同様に「特定技能1号」と「特定技能2号」という区分があります。

在留期間は、1号の場合通算で上限5年まで、2号なら上限がありません。ですが、特定技能2号の受入れ対象業種は建設と造船・舶用工業のみです。そのため、飲食料品製造業は特定技能1号しかありません。

仕事内容は?

仕事内容は冒頭で書いたように食料品や飲料品の製造・加工です。
しかし、すべての食料品・飲料品を対象としているのではなく、種類が定められています。それが以下の通りです。
※飲料の製造に関して、酒類の製造は対象外としています

1.食料品製造業
2.清涼飲料製造業
3.茶・コーヒー製造業(清涼飲料を除く)
4.製氷業
5.菓子小売業(製造小売)
6.パン小売業(製造小売)
7.豆腐・かまぼこ等加工食品小売業

そして、1.食料品製造業では以下のような食料品のことを指します。

・畜産食料品製造業(肉や乳製品など)
・水産食料品製造業
・野菜缶詰・果実缶詰・農産保存食料品製造業
・調味料製造業
・糖類製造業(砂糖など)
・精穀・製粉業(精米・小麦粉製造など)
・パン・菓子製造業
・動植物油脂製造業
・その他(でんぷん、めん類、豆腐・油揚げ、あん類、冷凍調理食品、惣菜、すし・弁当・調理パン、レトルト食品など)の食料品製造業

また、これら製造業の仕事に加え、関連業務(原料の調達・受入れ、製品の納品、清掃、事業所の管理の作業等)も対象業務としています。

取得条件

特定技能1号・飲食料品製造業を取得するのに求められる条件は概ね以下の通りです。

・18歳以上
・飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験に合格
・日本語能力試験(N4以上)に合格

*特定技能を取得するための他の条件はコチラの記事で解説したので、ここにある条件は一部省略したものです。

また、特定技能1号を取得するには上記した試験に合格する方法と、技能実習2号から移行する方法があります。その場合、試験が免除されますが次に示す注意が必要です。(技能実習とは?

(注)日本語能力試験はどの分野の技能実習生であっても免除対象
になりますが、技能試験はコチラのPDF最下ページに記載されている職種・作業に従事した技能実習生が免除対象になります。

どのような試験が行われるのか?

日本語能力に関するもの

1号特定技能外国人には「ある程度の日常会話ができることに加え、業務上必要な日本語能力」を有することが求められます。
飲食料品製造分野において合格すべき試験は1つだけです。それが「日本語能力試験または国際交流基金日本語テスト」です。
日本語能力試験ならば、N4合格の日本語レベルが必要です。N4は日本語能力試験の5段階中下から2番目のレベルです。
国際交流基金日本語テストにおいてN4に匹敵する日本語レベルは6段階中下から2番目のA2に該当します。

日本語能力試験HPはコチラ
国際交流基金日本語基礎テストHPはコチラ
技能水準に関するもの

先ほど記載した通り技能水準に関する試験は「飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験」を行います。この試験では主に以下のような項目・内容についての知識が問われます。試験は全30問で65%以上で合格となります。
これに加え、設定された状況下での判断試験や必要となる作業の計画を立案する計画立案試験などの実技試験も行われます。

ここで、HACCPと5Sについて少し補足をしておきます。

HACCP(ハサップ)とは、Hazard Analysis and Critical Control Pointの略で、日本語では「危害要因分析重要管理点」といいます。

平たく言うとHACCPとは、原材料の入荷から製造までの作業工程において安全性をチェックしていく衛生管理方法のひとつのことです。

5Sとは「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」の頭文字のSをとったものです。

この5Sは、事故防止や効率化による生産性の向上などが期待できるとして、製造業・サービス業などの職場環境の維持改善で用いられる日本で生まれたスローガンです。

どれくらいの特定技能生が働いているのか?

特定技能・外食業分野の受入れは2019年4月から始まりました。そして、この分野において5年間の受入れ見込み人数は34,000人としています。
では、1年が経過した今、特定技能生は何人ほどいるのでしょうか?以下のグラフは令和1年6月から令和2年6月の特定技能1号生の推移です。

出入国在留管理庁より作成

飲食料製造分野における特定技能生は順調に伸び続け、令和2年6月時点で2,094人と他の特定産業分野の中でも最も多い数字となっています。
しかし、それでも5年間の受入れ見込み人数が34,000人であることを踏まえるとまだまだ確保が十分にできていないといえるでしょう。

また、2020年冬春頃から蔓延してきた新型コロナウイルスの影響で試験が予定通り受けられなかったり、入国予定のはずが中止になってしまったなどのニュースも多く見られるので、うまく進むのか先行きが心配な状況となっています。

まとめ

・飲食料製造業とは加工食品や飲料水などを製造する産業
・対象の食品が限られており、例えば酒類は対象外となっている
・試験は食品の安全や衛生面、管理についての知識が問われる
・特定技能外国人数は令和2年6月時点で2,094人と他の産業分野の中で最も多い

以上、特定技能・飲食料製造業における現状や対象の仕事内容、試験について解説させていただきました。

飲食料製造分野もロボットの導入や設備投資、Iot・AIなどを活用した省人化・低コスト化など、製造現場の生産性を向上させようと様々な対策を施しています。
しかし、冒頭で示したように有効求人倍率は上昇し続けており、これからも人手不足格差は広がっていくと思われます。

飲食料品は私たちの生活とは切っても切り離せないほど直接的に関わりのある非常に重要な産業分野です。

そのような飲食料品製造業について、特定技能について少しでも理解を深めていただければ幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。